ある生物学者の不可思議な心臓

ある生物学者の不可思議な心臓

先天性心疾患をもつ生物学者が命について考える。

入院

入院もやむを得ぬ

先日、一ヶ月ぶりの定期検診があった。残念なことに血液検査の結果が思わしくなく、大幅に数値が悪くなっていた。血中タンパク量やヘモグロビンが下がっていたのだ。次回の検診でさらに悪くなっていたら、入院は避けられないかもしれない。今年に入ってから…

血の海を渡ると地獄

また、フォンタン再手術の話を再開しよう。 術前の説明では、手術時間は12時間と予定された。一番時間がかかるのは、心臓に到達する前に心臓と胸骨の癒着をはがすことである。過去に心臓手術を受けたことのある人は、心臓が周囲の組織と癒着していることがよ…

人工心肺、結構心配

手術の6日前に入院が始まった。入院するとすぐに、レントゲン、心電図、CT、採血、エコー、肺機能検査と、休む暇なく検査を受けた。さらに、その頃はPLEが再発していたため血中タンパクがかなり低く、点滴でアルブミンとグロブリンの補充も受けた。タンパク…

希望も絶望も持たない

今から一年前の地獄入院から退院した直後。おいらはしゃがむことができず、床に座ることができなかった。電動式の介護ベッドに寝起きし、ベッドから体を起こす時は電動で上半身をあげる必要があった。腰椎圧迫骨折のためコルセットを体に巻き、痛みで寝返り…

避けられない手術

そろそろ、また過去の話をしよう。今から約2年ほど前のフォンタン再手術(TCPC conversion)のことだ。手術直後の状態は以前書いたが、その時の入院の全貌を、これから何回かに分けてお話ししたい。 おいらが再手術を受けるに至った経緯は、4年半前にさかの…

狭い殻でも広い浜がいい。

南の島に来てから、すでにいくつかのビーチを巡った。全てのビーチではないが、そのいくつかでオカヤドカリを見つけた。いるところにはたくさんいて、10匹以上簡単に見つかった。手のひらに乗せると、すぐに頭を出してモソモソと動き出した。あるものは、勢…

涙そうそう

南の島 OKNWにようやく降り立った。これから全く新しい生活が始まる。でもその期待と不安よりも、まだこれまでの生活の思い出や余韻が大きい。前の住所からの引越しは、場所が場所だけに10日間かかった。荷物を引っ越し業者に出してから南の島に着くまでに、…

ひとりじゃない

目覚めると、視界ははっきりしなかった。見える物は全てがぼやけ、光のスジが何本も見えた。徐々に感覚が戻ってくるにつれ自分の置かれた状況がわかってきた。口には呼吸器が入り、しゃべることもできない。ベッドの上に寝ているのはわかるが、全身ほとんど…

入院最高!

この年末、サンタさんからファミコンが贈られてきた(息子に贈られたものだけど)。おいらの手元にファミコンが来るのは子供の頃と合わせてこれで2度目になる。おいらの子供時代1980年代はファミコン全盛期だった。しかし、ファミコンは当時は高く、おいらの…

体調、神ってる。

ここ数年、年末年始のころはいつも体調が悪かった。そのためか、気分も落ち込み年が明けてもとてもめでたい気分にはなれなかった。今年の初めもまた気分が落ち込んでいて、それが祟ったのか地獄入院につながった。しかし、今年は違う。極めて体調が良いのだ…

狂った食欲

大分間があいてしまったが、地獄入院の話を再開しよう。できればこれで最後の話にしたい。 今日は食事の話である。食事は医療以上に病気の治療に効果がある。だから病気持ちの人、病気の予兆がある人、そしてもちろん健康の人も食事を決して舐めてはいけない…

痛みでよみがえる記憶

今年の始めから、朝起きてから午前中の体調がすぐれない。その傾向は、地獄入院から退院した現在も続いている。大体は朝は寒気がして、寒気が酷いときには吐き気もある。体がだるく脈がやや速く息苦しい。朝食後少し横になって休むことも多いが、なかなか良…

ステロイドに蝕まれた末路

気が重い地獄入院の話を再開しよう。 これまでの流れを簡単におさらいすると、新年早々に貧血のためNC病院へ緊急入院。内視鏡検査のためSD病院へすぐに転院し、検査後消化管出血が原因と判明。一旦NC病院にもどるも再検査のため再びSD病院に転院。消化管出血…

奇跡を起こした飲む点滴

地獄入院が始まってから一ヶ月半が経過した。おいらは、SD病院からなかば逃亡するようにNC病院に戻ることができた。NC病院に移ると入院生活は劇的に快適になった。まず、決定的に変わったのが食事である。SD病院での激マズ栄養ドリンクがなくなり、汁のみメ…

フォンタン術後の消化管出血と蛋白漏出性胃腸症

地獄入院の話を再開しよう。 地獄入院は、貧血がきっかけで始まった。後々わかってきたことは、消化管内からの出血で貧血が起こり、出血は蛋白漏出性胃腸症の延長線上に生じたものだった。以前にも書いたようにそのような症例は極めて少ないが、ほぼ唯一では…

医者が望む理想の患者

今日は山田倫太郎くんの「患者が望む理想の医者:8か条」について、おいらなりのひねくれ解釈をしてみよう。彼は、先天性の複雑心奇形を持ち、たびたび手術を受けながら今も闘病を続ける中学生である。山田くんと8か条については、日テレの24時間テレビで…

我慢し続けると人生が終わる

地獄旅行を再開しよう。 おいらには、自分のこれまでの経験に基づいた教訓がいくつかあり、それらの教訓はとても信頼している。そんな教訓の一つに、「どんなつらいこと痛いことも、我慢し続ければ終わる」というものがある。 例えば、心臓病患者が受けるカ…

底なし地獄

NC病院からSD病院へ二度目の転院をした。年初めにNC病院に入院してから4週間が経とうとしていた。病状はますます悪くなり、便の色は真っ黒のまま、さらには赤く血の色に変わってきた。相当量の出血が起きているようである。転院してまもなく、3度目の内視鏡…

人生最悪の地獄入院

今年は新年早々から入院した。その入院は過去最悪の地獄のような入院だった。三途の川やえんま大王をみたりはしなかったものの、いっときはこのまま病院で死ぬんだろうと思った。また、苦しさのあまり死んで楽になりたいとも思った。かなり大げさかもしれな…

障害者はお荷物か

また日があく。書こうと思うことはいろいろあるけど、一話完結のように話をうまくまとめようとするから、重荷になってしまう。 今日は、あまり触れたくない先月の障害者連続殺人事件について。ほとんどの障害者がこの事件に少なからず、影響を受けただろう。…

モンスターパティエント

腹水の水抜き入院から、無事退院できた。連日ラシックスとソルダクトンを点滴で日に3回打ち続けた。約一週間で体重は3kg、腹囲は5cmほど減った。点滴による利尿剤はすごい効果である。点滴を打ち始めた最初の日は、おしっこが3L近くもでた。その後はでる…