ある生物学者の不可思議な心臓

ある生物学者の不可思議な心臓

先天性心疾患をもつ生物学者が命について考える。

医者

小児が性に合う:心外導管穿刺法アブレーション入院後編

アブレーション入院の続きを書こう。アブレーションの翌日、朝9時に主治医の先生が来て、すぐに脚の付け根に何重にも貼ったテープを剥がしてくれた。テープを剥がす時は予想通りかなり痛かったが、途中から自分でやらせてもらえたため比較的楽にはがせた。テ…

スーパー患者

世間では、神の手と呼ばれる圧倒的な医療技術を持ち、不可能と思われる手術を次々と成功させていく医者を、スーパードクターと呼んで崇拝している。スーパードクターの元には、世界中から難病を患った多くの患者がすがる思いで訪ねてくる。それだけに手術が…

ペースメーカーの夜明け:心室細動入院エピローグ

前編と後編では書けなかった、心室細動に至った原因や心房細動が頻発した原因、そして今後の治療方針について、記録のために書き記しておこう。 医者の説明によると、心室細動が発生した原因として最も考えられるものは、低カリウム血症であった。緊急入院し…

泣く勇気:心室細動入院後編

ICUに移ってから、当初の2日間の滞在という説明とは異なり3日目に突入していた。ICUでの生活は、気が狂いそうなほど口が乾き、鼠蹊部に刺さったシースのためにほとんど身動きが取れず、騒音と光で一睡もできない状況を耐え続けなければいけなかった。あまり…

箱の底に残った希望

新政党から二人の重度障害者が国会議員に当選し、世間の注目を集めている。国会ではバリアフリー対策が一気に進み、障害者の社会進出に大きな前進が期待できる極めて革新的なことであった。しかし、世間の反応は、パンドラの箱を開けたように、これまでうち…

入院ランキング

よく雑誌などに病院ランキングが出ていたりする。それは手術実績や病床数などを基にして、主に医療技術や施設の充実度で評価されている。もちろんそれらは極めて重要なポイントではあるが、入院患者にとってそれと同様に気になるのが入院生活の実態であろう…

総痛み量

今回の心筋梗塞の入院では、当然ながら様々な痛い出来事が続いた。入院中は、痛みのレベルを1から10で聞かれることが度々あり、10は涙が出るほどの痛みらしい。最初にあった胸や腕の痛みは大したことはないので痛みレベル2くらいだった。点滴ルートの注射や…

りんごが赤くなると医者は喜ぶ

りんごが赤くなると医者が青くなる。栄養のあるりんごを食べていると病気にならず医者いらずという意味のことわざで、世界にも類似のことわざが存在する。しかし、このことわざ、医者にとってはずいぶんと失礼な話で、全くもって正しくない。 前に住んでいた…

研究材料になる研究者

おいらの症例は、これまでに少なくとも2回医学系の学会で発表されているようだ。そのどちらも、フォンタン再手術を受けた病院の医師による発表である。研究のデータとして使う際には、事前に同意書の記入を求められる。おいらも研究者の端くれだから、おいら…

旅は入院の始まり

子供の頃、手術入院の前にはご褒美として特別な旅行に連れて行ってもらえた。ある時はディズニーランドへある時はグアム旅行だった。入院前で気持ちは落ち込んでいたが、その時ばかりは入院のことを忘れ、無我夢中で楽しんだ。そのためそれらの旅行はとても…

ひとりじゃない

目覚めると、視界ははっきりしなかった。見える物は全てがぼやけ、光のスジが何本も見えた。徐々に感覚が戻ってくるにつれ自分の置かれた状況がわかってきた。口には呼吸器が入り、しゃべることもできない。ベッドの上に寝ているのはわかるが、全身ほとんど…

痛みでよみがえる記憶

今年の始めから、朝起きてから午前中の体調がすぐれない。その傾向は、地獄入院から退院した現在も続いている。大体は朝は寒気がして、寒気が酷いときには吐き気もある。体がだるく脈がやや速く息苦しい。朝食後少し横になって休むことも多いが、なかなか良…

医者が望む理想の患者

今日は山田倫太郎くんの「患者が望む理想の医者:8か条」について、おいらなりのひねくれ解釈をしてみよう。彼は、先天性の複雑心奇形を持ち、たびたび手術を受けながら今も闘病を続ける中学生である。山田くんと8か条については、日テレの24時間テレビで…