ある生物学者の不可思議な心臓

ある生物学者の不可思議な心臓

先天性心疾患をもつ生物学者が命について考える。

どんな抗生物質や修行も効かないことがある

数週間前から虫歯の治療を始めた。正確には、初診は歯や歯茎の状態のチェックで、2回目、3回目は歯石や沈着汚れを掃除をしてもらい、治療が始まったのは4回目だった。先天性心疾患業界ではもやは常識となっているが(そもそもそんな業界があるかは置いておい…

ハイゼントラ vs サムスカ

今日は2週に一度のハイゼントラの日。今回もハイゼントラを点滴している1時間の間に、記事を書いてみよう。テーマは、以前書こうとしてやめたハイゼントラとサムスカの対決の話である。まずその二つの薬の特徴を紹介しよう。 ハイゼントラは、患者自身が在宅…

超高価な薬を自己負担なく飲んでいることの説明責任

明日は、2週に一度のハイゼントラ在宅点滴の日。以前のように、点滴を打ちながらライブでブログ記事を書こうと思っていた。前回は、点滴を打っている1時間内に書ききれなかったので、明日の記事はある程度ストーリーも思い描き、記事のタイトルも「ハイゼン…

終末への安堵

大型連休の頃から、片足の股関節が痛くなった。やがて股関節をかばうように歩いているうちに、膝まで痛くなってきた。今では片足を引きずって歩くほどになってしまった。恐れている原因は2つある。一つは、関節軟骨が減少することによって骨同士が当たって…

電気と薬と心地よさ

例の薬物事件の話ではない。先週おいら自身が電気ショックを受けた。昨年10月に心房粗動が発症して以来、また同じ症状が出たのだった。電気ショックは心臓が止まった人にやるイメージが強いが、心房粗動や心房細動を止める応急処置的治療としてもよく使われ…

赤い涙

もう何年も前から、血栓予防のためワーファリンを飲み続けている。ワーファリンは血液凝固を抑制し、血をサラサラにする効果があり、その裏返しとしてちょっとした出血でもなかなか血が止まらなくなるリスクがある。そのため、おいらは身体中に常に内出血痕…

水がへばりつきやがるぜ

ここ最近、なぜか尿の出る量が減ってしまい、どうにも打つ手がない。普段であれば、朝食後の薬一式を飲んだ後は午前中に大量に出た。特に平日、職場で紅茶を飲むとカフェインの効果もあいまってか、30分に一回くらいの頻度で、しかも一回あたりの量も多く、…

常備携帯セット

先日の豪雨では、西日本全域に甚大な被害をもたらした。今尚犠牲者の数が増え続けており、一刻も早い救出と復旧をお祈りしたい。このような大災害に見舞われた時、おいらのような持病を持つ人々にとって最も深刻なのは、薬の確保であろう。仮に水や食料や避…

贅沢な薬

先日の心筋梗塞の入院後、大幅に薬が増えてしまった。これまでのものと合わせるとその数22種類。今日はそれを一覧表にしたので、お見せしたい。以下が現在おいらが日常的に使っている薬である。薬の名前とその簡単な効果、一錠あたりの量、薬価、1日あたりの…

先天性 x 成人心疾患患者になる

左側の腕や胸、背中にあった重く鈍い痛みは、不安の通り、心筋梗塞の兆候だった。発症後、たまたま数日後に先天性疾患の定期診察があったため、診察時にその症状を伝えて追加の血液検査をしてもらった。主治医の先生は小児循環器が専門なので、心筋梗塞など…

弾切れ

先日の予想は見事に外れた。が、それはいい方向でのハズレだった。タンパクはわずかながらさらに改善したのだ。フルイトランによる絶妙なコントロールが効いたのだ。次の診察は3週間後になった。今後もフルイトランを飲む量を調節すれば良い状態を安定できる…

体重は物語る

明日はまた診察である。しかし、この1週間の体重の変化からだいたい検査結果の予想はついている。2週間前にフルイトランを毎日飲み続けた結果、大量に水抜きされ、タンパク量は大幅に改善した。その反面、脱水気味となり、フルイトランの服用を中止した。服…

鳥になりたい

日本最大の湖、琵琶湖。その湖で、毎年鳥を夢見て人々が熱い挑戦を繰り広げている大会がある。鳥人間コンテストは、おいらが子供の頃毎年楽しみにしていた番組だった。いつの時か、ついに琵琶湖対岸まで飛行して飛行距離の限界に到達するまではよく見ていた…

ステロイド党

現在、日本の政治の世界は、かなり右傾化した。右派政党が大多数を占め、左派政党の議員は絶滅に瀕している。おいらが子供の頃は、左派政党が全体の3分の1強を占めており、さらに右派政党の中でも中道的立場の派閥があったりした。だから全体としてみると…

一番効く薬

おいらは、毎月1、2回検診で仕事を休んでいる。一般的な企業では病欠という休暇の制度がない。病気で休む時は、有給休暇を消化するか、減給覚悟で欠勤扱いになるしかない。そして今の職も、会社に雇用されているので、やはり病欠休暇というものがなかった…

甘くないブーム

南の島に来て困ったことが起きている。飲む点滴甘酒がほとんど売っていないのだ。売っていたとしても非常に高い。とても気楽に買える代物ではない。しかし、甘酒がなくてはおいらの胃腸はいつまた出血し出すかわからない。なんとしても飲み続けたい。 おいら…

怪しい雲行き

やはりデスゾーンの攻略は難しいのだろうか。二ヶ月前にプレドニンを8mg/日に減量してから、タンパクの値が下がり続けている。2月の検診の時も、そして先日の3月の検診の時も下がっていた。TP6.1、アルブミン3.7、IgG709になった。アルブミンは昨年の7月…

デスゾーン

世界には、標高8000mを超える山が14ある。8000m以上の環境は、酸素濃度が地上の約3分の1となり、これまで多くの登山家が死亡してきたため、「デスゾーン」と呼ばれている。その死亡率は、多くの山で5%以上になっているそうである。デスゾーンを攻略し、意識…

ハイゼントラは依然と続く

このブログにアクセスしてくれる方は、ハイゼントラで検索してきた方が多いらしい。というわけで、今日はおいらのハイゼントラ体験の話をしたい。 おいらは、昨年のフォンタン転換手術の後からハイゼントラを始めた。入院中に何度か練習をした後、退院後も自…

ステロイドに蝕まれた末路

気が重い地獄入院の話を再開しよう。 これまでの流れを簡単におさらいすると、新年早々に貧血のためNC病院へ緊急入院。内視鏡検査のためSD病院へすぐに転院し、検査後消化管出血が原因と判明。一旦NC病院にもどるも再検査のため再びSD病院に転院。消化管出血…

PLE発症後の余命を予測する

蛋白漏出性胃腸症(PLE)は、フォンタン術後症候群の中でも特に予後不良とされる深刻な合併症である。その発生率はフォンタン術患者のうち4〜13%で低いものの、一度発症してしまうと治療に難渋し、根治はかなり難しい。死亡率も高く、当初は5年生存率50%程…

奇跡を起こした飲む点滴

地獄入院が始まってから一ヶ月半が経過した。おいらは、SD病院からなかば逃亡するようにNC病院に戻ることができた。NC病院に移ると入院生活は劇的に快適になった。まず、決定的に変わったのが食事である。SD病院での激マズ栄養ドリンクがなくなり、汁のみメ…

我慢し続けると人生が終わる

地獄旅行を再開しよう。 おいらには、自分のこれまでの経験に基づいた教訓がいくつかあり、それらの教訓はとても信頼している。そんな教訓の一つに、「どんなつらいこと痛いことも、我慢し続ければ終わる」というものがある。 例えば、心臓病患者が受けるカ…

人生最悪の地獄入院

今年は新年早々から入院した。その入院は過去最悪の地獄のような入院だった。三途の川やえんま大王をみたりはしなかったものの、いっときはこのまま病院で死ぬんだろうと思った。また、苦しさのあまり死んで楽になりたいとも思った。かなり大げさかもしれな…

水に左右される

最近は、2、3週に一度外来の診察を受けている。診察を受けにいくと、必ず血液検査をする。今気にしなければならない項目は、まず血中蛋白量を測る、総蛋白(TP),アルブミン,免疫グロブリン(IgG)である。フォンタン手術の合併症に蛋白漏出性胃腸症(PLE…

モンスターパティエント

腹水の水抜き入院から、無事退院できた。連日ラシックスとソルダクトンを点滴で日に3回打ち続けた。約一週間で体重は3kg、腹囲は5cmほど減った。点滴による利尿剤はすごい効果である。点滴を打ち始めた最初の日は、おしっこが3L近くもでた。その後はでる…

クリームパン足とアンパン腹

数日前から、腹水がひどくなってきた。それに伴って体重も増加し続けている。2週間前と比べて3キロ近く増えた。今の体型はお腹だけがポッコリと異様にでていて、妊婦さんを体験した気分だ。 お腹以外に足先もまた、特に水が溜ってむくみ足の甲や指はパンパ…