ある生物学者の不可思議な心臓

ある生物学者の不可思議な心臓

先天性心疾患をもつ生物学者が命について考える。

ステロイド党

現在、日本の政治の世界は、かなり右傾化した。右派政党が大多数を占め、左派政党の議員は絶滅に瀕している。おいらが子供の頃は、左派政党が全体の3分の1強を占めており、さらに右派政党の中でも中道的立場の派閥があったりした。だから全体としてみると、右派左派が適度なバランスを保っていたように思う。しかし、現在では、右派政党は外国では極右と言われかねないほどの姿勢を打ち出し、その勢力は今や全体の80、いや90%くらいになりそうな勢いである。このままの流れで行けば、憲法が改正され、日本は正式に国軍を持つようになり、近い将来に起こる朝鮮戦争に参戦するなんてことも冗談でなく起こるかもしれない。

 その是非はともかく、そもそも右派か左派かは、なかなかはっきりと定義づけるのが難しい。それはおそらく、各個人が考える右派像や左派像が異なるからだ。だから、おいらがこれが右派だあれが左派だと思うことも、他の人には必ずしも賛同されないだろう。右か左かはかなり主観的なイメージであるように思う。

 国が急速に右へ傾いていく傍で、人知れずおいらの体もひっそりとある方向へ傾いてきていた。長年のステロイド剤の副作用で、乳房が女性化し膨らんできたのだった。触ると奥の方にコリコリと硬いものまである。他にも、手足の毛が全然なくなってツルツルになったとか、レモン水やスムージーやフレーバーティーを愛飲しているとか、なんだか嗜好が女性的になってきているぞ。

 この変化は、今の大きく傾きつつある社会に体が無意識に反応して、少しでもバランスを保とうと中道的体になろうとしている表れでは、ないでしょうか。ならば、これからもステロイドを副用しようじゃありませんか。ステロイドの効能と副作用の絶妙なバランスで、必ず体調を安定させます。そして、2020年までに脱ステロイドを目指します。