ある生物学者の不可思議な心臓

先天性心疾患をもつ生物学者が命についてつづるよ。

Death is a natural part of life

「死は生きることの一部だ」。映画スターウォーズで、ジェダイマスターのヨーダが言った名言である。800年以上生き続けジェダイの頂点に立つヨーダが言うと、確かにとても深みのある言葉に感じる。がしかし、先天性心疾患者にとっては当たり前な感覚である。以前にも書いたが、先天性心疾患者には死は生きることより易しい。死は常に身近にある。だから、May the death be with you(死とともにあらんことを)、なのである。

 フォースがあらゆる生命に備わったエネルギーであるように、死もあらゆる生命に存在する流れのようなものだ。フォースと死はとてもよく似ているのだ。どちらも命あるものに必然的なものであり、避けることはできない。暗黒面の親玉シスは、「フォースで死を克服できる」と若きジェダイのアナキンを誘惑する。しかし、現実は死は必然でありフォースを持ってしても克服できないのだ。フォースを徹底的に修行したヨーダやオビワンは、死後も魂とフォースが一体となって蘇り、生きている人間と話すことができた。でもそれは亡霊みたいなもので、死を克服したのではない。彼らも生物である限り、死を経験し、それゆえにフォースをもつのだ。

 先天性心疾患者は、死を常に身近に感じている。死を経験するまでには至らなくても、死に近いところはたびたび経験してきた。それはある意味フォースの修行のようである。普通に生きているだけでは気づかないフォースに、知らず知らずのうちに肉薄していたのだ。だから、数々の試練をくぐり抜いた先天性心疾患者は、フォースを使えても不思議ではない。確かに、おいらはこれまでなんども奇跡を起こしてきたではないか。映画のようにものを浮かすことはできないが、全く動かなくなった体をリハビリで動かせるようになった。不整脈が止まらず無秩序に荒れ狂った心臓にメスを入れ秩序をもたらした。どんな医療行為も効かなかった消化管出血を、甘酒で回復させた。これらの奇跡は、無意識にフォースを使って起こしたのかもしれない。

 一見ウンチクがありそうだが、なんの中身も意味もない文章を書いてしまった。ただ単に、今日はおいらの大好きなスターウォーズの公開日のため、スターウォーズ用語をたくさん言いたかっただけである。でも、実在する人物の中でジェダイマスターに最も近い存在をあげるとすれば、やはり死の存在を深く理解した我々フォンタンマスターが最有力候補であることは間違いない。