ある生物学者の不可思議な心臓

ある生物学者の不可思議な心臓

先天性心疾患をもつ生物学者が命について考える。

贅沢な薬

先日の心筋梗塞の入院後、大幅に薬が増えてしまった。これまでのものと合わせるとその数22種類。今日はそれを一覧表にしたので、お見せしたい。以下が現在おいらが日常的に使っている薬である。薬の名前とその簡単な効果、一錠あたりの量、薬価、1日あたりの服用数、そして1日あたりの薬価を示した。

             
番号 効果 mg 薬価(円) / 薬価/
1 ゼーチア コレステロール低下 10 185.3 1 185
2 ピタバスタチンCa「サワイ」 コレステロール低下 2 46.3 1 46
3 ピタバスタチンCa「サワイ」 コレステロール低下 1 39.8 1 40
4 ワーファリン 血栓予防 1 9.6 1 10
5 ワルファリンK 血栓予防 0.5 9.6 1 10
6 バイアスピリン 血栓予防 100 5.6 1 6
7 エフィエント 血栓予防 3.75 276.1 1 276
8 アゾセミド「JG」 利尿剤 60 16 1 16
9 ムスカ 利尿剤 7.5 1277.3 3 3832
10 トリクロルメチアジド「NP」 利尿剤 1 6.1 1 6
11 アレンドロン酸 骨強化 35 204.1 0.14 29
12 アドシルカ 肺血管拡張 20 1770 1 1770
13 フェブリク 尿酸低下 10 31.7 1 32
14 フェロ・グラデュメット 鉄分補充 105 8.4 1 8
15 ウルソデオキシコール「トー 胆石予防 100 6.5 3 20
16 アミオダロン塩酸塩 不整脈 50 80 1 80
17 セララ 血圧低下 50 85.6 2 171
18 リーバクト配合顆粒 肝臓庇護 4150 178.5 3 536
19 ランソプラゾールOD 胃腸薬 15 26.4 1 26
20 プレドニン PLE予防 5 9.6 1 10
21 プレドニゾロン PLE予防 1 8.1 3 24
22 ハイゼントラ IgG補充 20 33032 0.07 2359
          日合計 9491
          月合計 284745

 

 11番目のアレンドロンは週に1回飲み、22番目のハイゼントラは2週に一回点滴している。それ以外は毎日朝昼晩に分けて飲んでいる。特に多いのは朝で、錠剤が21粒、粉薬が一袋ある。長年薬を飲み慣れたおいらは、21錠を一度に口に入れて飲むことができる。入院して極度の水分制限がかかっている時は、20ccくらいしか薬を飲むのに使えなかった時もあったから、水分制限のない今なら21錠だろうが余裕である。

 唯一の粉薬であるリーバクトは、まずいという評判である。確かに、水に溶けないし、量が多いので飲みにくい。これを20ccで飲んだ時は流石にきつかった。が、今は錠剤と合わせてコップ一杯の水を潤沢に使って、綺麗に飲み干すことができる。

 これだけの薬を飲むと、むしろそれで病気になりそうな気分になる。しかし、もっと気が滅入るのは、合計薬価だ。1日あたり約9400円、月にすると28万円以上になっている。年間約350万だ。薬のコスト有効度という考え方がある。ある薬にかかる価格(コスト)に対し、それを使うことによって患者がどれほど延命できるか(有効度)という考えだ。コストに対し延命できる期間が長いほどコスト有効度が大きい。この考え方には、患者自身の社会的な役割といったことは全く考慮されない。全ての人の命は等価であり、全ての人の命は生かすべきであるというのが大前提だ。

 おいらのコスト有効度は大きいか小さいかは今はわからない。ともかく、毎日9400円の薬を使って、ある意味とても贅沢な生活をしているのだということを噛み締めて、ありがたく一日一日を大切に生きていきたい。