ある生物学者の不可思議な心臓

ある生物学者の不可思議な心臓

先天性心疾患をもつ生物学者が命について考える。

2019-04-01から1ヶ月間の記事一覧

崩壊後の時代

平成元年、おいらは最初のフォンタン手術を受けた。術後は、動脈と静脈が綺麗に分けられ、酸素をたっぷり含んだ動脈血が全身にくまなく行き渡るようになった。溢れるほどの酸素に、体は最初戸惑いを隠せず拒絶的反応すら見せた。だがやがて、その豊富な酸素…

愛する島

おいらの住む南の島では、早くも蒸し暑くなりエアコンを使い始めた。こうなると冷たい物が恋しくなり、スーパーに買い物に行くたびにアイスを買う誘惑に駆られてしまう。しかし、まだ夏までは先が長く、今からアイスを買っていては夏場が思いやられる。それ…

証拠隠滅

南の島に移り住んで、丸2年が経過した。心筋梗塞や不整脈などで何度か入院したものの、心臓の状態は概ね安定していた。一番大きな改善は、PLEによる入院がなくなったことだ。もちろん何度か危ない時期はあった。それでも、ステロイドの量を微調整し様子見す…

覚悟の時代

年度の始めは、新しい職場や学校に通い始めたり、初めての地域に住み始めたりと、多くの人にとって不安と期待の時期である。特に今年は新元号が発表されたこともあってか、一段とまばゆい雰囲気に包まれている。おいらもまた、今年は例年になくなんだか明る…