ある生物学者の不可思議な心臓

ある生物学者の不可思議な心臓

先天性心疾患をもつ生物学者が命について考える。

生物多様性

多様性という試練

人類は、これまで生物が生み出す多様性に散々悩まされてきた。あえて強引に言ってしまうならば、人類史上に起きた様々な問題は、いずれも多様性が発端になっていると言えなくもない。例えば、おいら達が抱えている先天性心疾患という病気。もし、全ての人間…

生物にはなぜ病気があるのか

「難病カルテー患者たちのいま」という本を読む。多くの難病患者が紹介されていたが、生まれつき症状が発症している先天性疾患の例は少なく、ある程度成長してから発症する神経・筋肉・骨・消化管・免疫系の難病が大半だった。そうした難病では、早い人なら1…

デリケートな多様性

今日書く話は、触れないでおくのが無難な非常にデリケートな話題である。そう、おいらの住んでいる南の島で、今週末、米軍基地建設の是非を問う住民投票が実施される。この島に長年根づく非常に重いテーマであり、おいらだけでなくおいらの周囲の人も皆ナー…

命の品定め

最近、おいらの住む南の島のサンゴ礁を巡って、世界中を巻き込んだ論争が起きている。軍事利用のためにサンゴ礁が埋められる事態が迫っており、その保全が争点の一つになっているのだ。おいら自身は、生物学者の端くれとして保全を願っているが、生物保全の…

水増し障害者

この夏は水増しだらけの年になった。台風や豪雨で日本中が大雨に見舞われ、浸水したり、河川が溢れたりした。さらに先日には、北海道で大きな地震が起き、広範囲で液状化現象が観察された。いずれの災害でも、多くの方々がなくなる悲惨な被害が出ており、今…

健常者の時間、先天性心疾患者の時間

このブログでも度々書いてきたが、おいらは子供の頃から自分の寿命は50歳までだろうと感じている。5年前にフォンタン術後症候群になり、PLEや不整脈の合併症が出てからは、その寿命をさらに確信した。先日の心筋梗塞の時には、50歳も甘い予想だったなとさえ…

破壊生物学者

南の島に住んでいるのだから、一度は熱帯魚が群れる海の中をシュノーケリングをしてのぞいてみたいものだ。先日、ついにその願いが叶った。干潮時にできたサンゴ礁内の浅いタイドプールでシュノーケリングをしたのだ。そこはとても浅く、ほとんどのところは…

早すぎる五月病

仕事が始まってまだ一週間めだというのに、毎日すごく疲れる。いすにすわっていると、腰や背中がかなり痛くなった。午後になると帰りたくて仕方がなく、時間の流れがとても遅く感じられた。結局あまりに疲れるので、本来の5時過ぎまでいられず、4時半頃に…

青の世界

南の島だというのに、ここ数日意外と寒い。最高気温は20度にならない日が続いている。寒くなると途端においらの体調は悪くなる。寒気がしてだるく、少し頭痛や気持ち悪さがあり、胃腸も不快感が出てくる。体は重く、何もするにも息苦しい。温かい紅茶などを…

SW=生物多様性

おいらは、生物多様性を研究している。なぜ生物は多様なのか。どうやって多様性は維持されるのか。多様であるとなにがおこるのか。おいらにとって、生物多様性はなんとも不思議な存在であり、なぜか魅力的なのだ。 おいらが、生物多様性に興味を持ったのは、…

むしろ負はあった方がいい

今、地球上の生物多様性は急速に失われている。生物多様性は、空気や水を浄化したり、食料、衣服、薬など様々な資源を生み出したり、と人類や他の生物に大きな恩恵を与えていると言われる。生物多様性が減少すれば、こうした恩恵を受けられなくなり、さらに…