ある生物学者の不可思議な心臓

ある生物学者の不可思議な心臓

先天性心疾患をもつ生物学者が命について考える。

感染症

縦隔炎入院②:フォンタン循環で静脈経由ペースメーカー設置は可能か

長い間保留にしていた2度目の縦隔炎入院についてお話したい。 入院は5月下旬から始まった。入院当初の計画から手術は最低3回を予定した。今回クリアしなければいけない課題は、①縦隔炎の感染部分を除去して徹底的に洗浄し、できるだけ菌の総量を減らすこと…

一つの物語が終わり、一つの物語を書く

前回の記事から、3ヶ月が過ぎた。その間何をしていたかと言うと、前回の記事の最後に書いたように縦隔炎が再燃したため、5月下旬から7月中まで2ヶ月弱入院していた。入院中や退院後は、記事を書く時間はたくさんあったが、精神的・肉体的ゆとりがなく書…

再び目覚めた小さな怪物:縦隔炎入院①-抗生剤治療編

前回の記事から、一ヶ月以上記事を書かずに過ぎてしまった。この間、4週間弱入院していた。今回の記事は、その4週間弱の入院について記録したい。記事が書けずにいたのは、入院中であったからともいえるが、実際入院中は書く時間がたっぷりあった。しかし…

COVID-19と先天性心疾患:9人の子供の症例

今回は久しぶりに論文紹介をしたい。しかし、以下に紹介する論文は先天性心疾患の子供を持つ親御さんにとっては、不安が増すだけであまり知りたくない情報かもしれない。でもおいら個人の考えとして、たとえネガティブな情報であっても、それを知ることによ…

フォンタン術後の単心室小児患者におけるCOVID-19の症例

新型コロナ感染症が世界中に拡大し半年以上が経過した。当初から、心疾患を持つ患者はコロナ感染症による重症化や死亡リスクが高いと言われてきたが、特に先天性心疾患の患者についてはどのくらいそのリスクが高いのかは全くわかっていなかった。感染拡大か…

VAC to the future

少し古い話だが5年前のTCPCフォンタン転換手術の時について、再び思い出話をしたい。 これまでに術前から一般病棟までの過程は以下の記事でお話しした。 入院前:避けられない手術 入院後手術まで:人工心肺、結構心配 手術の状況:血の海を渡ると地獄 手術…

多様性という試練

人類は、これまで生物が生み出す多様性に散々悩まされてきた。あえて強引に言ってしまうならば、人類史上に起きた様々な問題は、いずれも多様性が発端になっていると言えなくもない。例えば、おいら達が抱えている先天性心疾患という病気。もし、全ての人間…

先天性心疾患者にとって新型ウイルスはどれほど脅威なのか

随分と大げさなタイトルだが、結論から言うとわからないというのが今回の話である。現在、世界中で拡散している新型コロナウイルス。ニュースなどで報じられている話では、基礎疾患がある人、心不全がある人などは感染した場合重症化するリスクが高く、特に…