ある生物学者の不可思議な心臓

ある生物学者の不可思議な心臓

先天性心疾患をもつ生物学者が命について考える。

生命進化

正解のない生き方

前回のブログで、学会のシンポジウムで講演することになったと書いた。今日はその講演内容を講演前に一足先に公開してしまおう。というわけで今回の話は、心臓や病気のこととは関係のないゴリゴリの生物学の話である。 おいらは今から15年ほど前、鹿と大仏で…

痛みの緩和術

今回は、おいらはこれまでの闘病経験で、痛み、苦しみ、辛さからなんとか逃れようとした時に実践したことを紹介したい。これはある程度病気で痛い思いや辛い思いをされた方であれば、おそらく誰しもが似た経験をされていると思うので特に目新しいことではな…

クリームシチューの進化学

我が家では、中1の息子の定番料理となったクリームシチュー。前回作ってから約2ヶ月が経ち、再び作ってもらった。息子のクリームシチューが登場するのは、大体おいらの疲れが溜まっていて寒い日である。この数日もその条件に当てはまり、南の島にしては最高…

毛が生えた程度は根本的な違いである話

たまには生物学の小話でもしてみよう。先にお断りしておくと、話が進むほどうざったい独りよがりな展開になって、眠たくなること間違いなし。途中でギブアップして全然OKです。 その生物は、野菜売り場にごく当然のようにありふれて陳列されている。がしかし…

フォンタンの未来

先日、フォンタン患者とその家族それに全国から集まった小児循環器医が参加したフォンタンのセミナーがあり、おいらは患者の一人として体験談を語ることになった。おいらは、今住んでいる南の島の中ではフォンタン患者として最高齢らしいが、それは別に偉い…

植物の涙

おいらの住む南の島には、モモタマナという樹木種が島のあちこちに自生し街路樹としてもよく植えられている。名前は可愛らしいが、冬が近づくこの時期に大量の葉と果実を落とし、道路を好き放題散らかしてくれるやんちゃな植物だ。葉は、ホウノキのように丸…

水増し障害者

この夏は水増しだらけの年になった。台風や豪雨で日本中が大雨に見舞われ、浸水したり、河川が溢れたりした。さらに先日には、北海道で大きな地震が起き、広範囲で液状化現象が観察された。いずれの災害でも、多くの方々がなくなる悲惨な被害が出ており、今…

チキンレース

おいらの体には致死性の病気がいくつも潜んでいる。まず本家の心臓は、不整脈などによる急性心不全で突然死する可能性がある。そうでなくても心機能が年々低下し心不全になるのは避けられない。それから先日切除した大腸ポリープは異常な数と増殖速度だった…

落ちるものは怖い。

先日入院していたある晩、激しい雨雲が流れてきた。スコールのような豪雨とともに、何度となく雷が落ちた。時には病院からすごい近くで落ちて、空気が裂ける音がした。病院全体もビリビリと震えた。おいらのベッドはちょうど窓際だったので、怖いもの見たさ…

むしろ負はあった方がいい

今、地球上の生物多様性は急速に失われている。生物多様性は、空気や水を浄化したり、食料、衣服、薬など様々な資源を生み出したり、と人類や他の生物に大きな恩恵を与えていると言われる。生物多様性が減少すれば、こうした恩恵を受けられなくなり、さらに…

障害者はお荷物か

また日があく。書こうと思うことはいろいろあるけど、一話完結のように話をうまくまとめようとするから、重荷になってしまう。 今日は、あまり触れたくない先月の障害者連続殺人事件について。ほとんどの障害者がこの事件に少なからず、影響を受けただろう。…

奇跡の終焉

おいらは、13歳のときフォンタン手術を受けた。フォンタン後の体の変化は劇的だった。顔や爪や唇の色は、紫色から血色の良いピンク色にかわり、ばち指はなくなり湾曲した爪はまっすぐに延びはじめた。走ることができ階段も息切れすることなく登れるようにな…