ある生物学者の不可思議な心臓

ある生物学者の不可思議な心臓

先天性心疾患をもつ生物学者が命について考える。

2018-01-01から1年間の記事一覧

先天性 x 成人心疾患患者になる

左側の腕や胸、背中にあった重く鈍い痛みは、不安の通り、心筋梗塞の兆候だった。発症後、たまたま数日後に先天性疾患の定期診察があったため、診察時にその症状を伝えて追加の血液検査をしてもらった。主治医の先生は小児循環器が専門なので、心筋梗塞など…

心臓は嘘をつかない

以前、おいらの心臓は、身に迫る危機を頭で考えている以上に正確に感じ取ることができる、と書いた。例えば、頭ではまだ大丈夫かなと思っている時でも、心臓の方が先にドキドキと動悸がして危機を感じ始めるのだ。ここ数日、狭心症のような症状が頻発してい…

偶然の予兆

この数日、政治に関わる衝撃的疑惑が次々報道されている。もしかすると、長く人々の心に残る歴史的な政治事件になるかもしれない。この事件のように、おいらがこれまでの人生でリアルタイムで目撃あるいは体験した衝撃的なニュースを思い出していくと、ふと…

データの力

現在国会で、裁量労働制のメリットを示すデータに誤りが指摘され、捏造さえ疑われている。あるいは、科学研究の世界でも、最近ではiPS細胞研究所での不正事件など、データ捏造事件が度々起きている。こうした事件が度重なると、データとは、結論に合うよう都…

裁量休暇制

今国会で熱く審議されている働き方改革関連法案では、裁量労働制の適用範囲の拡大が盛り込まれている。裁量労働制が適用された労働者にとっては残業代なしで長時間働かされる懸念があり、定額働かせ放題だと批判されている。おいらがこれまで働いてきた研究…

クールな患者

連日、輝いて見えるオリンピック選手の中で、異色のクールさを醸し出す選手がいる。スノーボードハーフパイプの平野歩夢選手だ。まだあどけなさの残る顔立ちと今風の若者の風貌とは裏腹に、一貫して落ち着いた立ち振る舞いはサムライを思わせるようで、今世…

輝く人々

平昌オリンピックが開幕した。競技をしているどの選手も輝いて見える。この日のために人生の全てをつぎ込んできたかのように、全力で競技に立ち向かっていた。それだけに負けた時の悔しさも、勝った時の歓びも、想像を絶する感覚なのだろう。そのような超越…

傷心の研究者

新年早々、投稿していた論文が2つ連続で落ちた。論文が落ちたとは、学術雑誌に投稿していた論文が、掲載不可と判定されて返されることである。研究をしてある程度成果が出ると、それを論文にまとめて学術雑誌に投稿する。雑誌に投稿しても、すぐに掲載して…

うまい話には毒がある

うかつだった。もし間違っていたら死んでいたかもしれない状況だった。南の島に来て以来釣りにハマり、度々行っていた。家から車で10分くらいのところに港があり、そこでは結構簡単に魚が釣れた。時には魚肉ソーセージで、ガーラと呼ばれるアジ科の魚が釣れ…

生きるための装備

年末年始は内地へ帰省した。帰省先は雪が降っており、寒さが耐えられるかとても不安だった。南の島に来る前は、毎年冬の寒さに耐えられず体調を崩して入院していたからだ。せっかく、南の島でこれまで安定してきたのに、帰省して体調を悪くしては元も子もな…