ある生物学者の不可思議な心臓

ある生物学者の不可思議な心臓

先天性心疾患をもつ生物学者が命について考える。

2020-01-01から1年間の記事一覧

先天性心疾患者にとって新型ウイルスはどれほど脅威なのか

随分と大げさなタイトルだが、結論から言うとわからないというのが今回の話である。現在、世界中で拡散している新型コロナウイルス。ニュースなどで報じられている話では、基礎疾患がある人、心不全がある人などは感染した場合重症化するリスクが高く、特に…

ペースメーカーの夜明け:心室細動入院エピローグ

前編と後編では書けなかった、心室細動に至った原因や心房細動が頻発した原因、そして今後の治療方針について、記録のために書き記しておこう。 医者の説明によると、心室細動が発生した原因として最も考えられるものは、低カリウム血症であった。緊急入院し…

泣く勇気:心室細動入院後編

ICUに移ってから、当初の2日間の滞在という説明とは異なり3日目に突入していた。ICUでの生活は、気が狂いそうなほど口が乾き、鼠蹊部に刺さったシースのためにほとんど身動きが取れず、騒音と光で一睡もできない状況を耐え続けなければいけなかった。あまり…

我を失った心と心臓:心室細動入院前編

先日10日間ほど緊急入院した。それは過去に経験したことがない種類の苦しみを味わい、死を強く意識した入院になった。少し長くなるが、その詳細を記録しておこう。 年明け早々から体調はすぐれなかった。心房細動が発生し病院で電気ショックを受け一度は止め…

息子いれば憂いなし

年明けから息子と二人暮らしをしている。妻は、昨年同様冬の期間は友人の観光業を手伝いに、本土の山間部に長期滞在しに行った。昨年までは息子はスキー留学のため、妻と一緒に行っていた。しかし、息子は中学に入るとスキーへの情熱が冷めてしまい、今年は…

フォンタン循環における肝臓および腎臓の末端器官障害

新年早々、再びフォンタン術後の肝機能障害についての研究を紹介する。この論文では腎機能障害についても詳しく分析している。 ーーーーーーーーーーーーーー Wilson, TG. et al. (2018) Hepatic and renal end-organ damage in the Fontan circulation: A r…

心臓と脳の心

昨年末は生きがいや希望を見失いかけ、どうしたらよいかわからなくなり、姉や知り合いに相談してみた。姉からは慰められるどころか、「つまらなさを誰かのせいにしているうちは愉しくならない。なにがつまらないか、どうしたら面白いかを考えなさい!」と、…