ある生物学者の不可思議な心臓

先天性心疾患をもつ生物学者が命についてつづるよ。

Quantifying QOL

Quality of Life(QOL:生活の質)は、病人や障害者には馴染み深い用語である。しかし意外なことに、調べてみるとはっきりとした定義が見つからないのだ。Wikipediaでは、人生の内容や社会的な生活の質を指し、どれだけ人間らしい生活や自分らしい生活を送り幸…

常備携帯セット

先日の豪雨では、西日本全域に甚大な被害をもたらした。今尚犠牲者の数が増え続けており、一刻も早い救出と復旧をお祈りしたい。このような大災害に見舞われた時、おいらのような持病を持つ人々にとって最も深刻なのは、薬の確保であろう。仮に水や食料や避…

サッカー占い

いつの頃からかW杯の勝敗をタコで占うようになった。その先駆けは、おそらくドイツの水族館で飼育されていたパウル君というマダコで、2010年W杯のドイツ代表の試合結果を高確率で的中させた。今年のW杯では、北海道にラビオ君というミズダコがいて、日本代表…

不戦の誓い

今日は、おいらの住んでいる南の島の慰霊の日だった。おいらがこの島に移り住んでから2度目の日である。昨年のその日は、プールに入ってアイスを食べて、のん気に遊んでいた。今年は少しでもこの島の歴史を学ばなければと、近所の図書館で開催している写真展…

恐怖の支配

凄まじい虐待事件が起きた。虐待という言葉ではもはや軽すぎで、拷問や殺人と言うべき事件であった。事件の詳細が明らかになるにつれ、あまりの惨状に多くの人がそれ以上聞くことが耐えられないほどであった。虐待を受けた少女の心境を想像することは難しい…

Smoke Gets in Your Eyes

最近もまだ夜中に息苦しくなる。水分コントロールがうまくできず、水が抜けたと思ったらまたすぐに溜まり始めてしまうのだ。水による息苦しさとはまた違った感じで息苦しくなるものが、タバコの煙である。昔はそうでもなかったが、最近はちょっとタバコの匂…

フォンタンの暗黒面

おいらはまだフォンタンマスターへの修行が足りないようだ。初めて聞いた方のために、フォンタンマスターとは何か改めて説明すると、フォンタン循環を持ちながら、その体に最適な生活スタイルを会得して、長期間入院などをせずに体調を安定できる達人のこと…

日常生活活動が極度に制限されている人

引き続きおいらの命綱である社会福祉制度の話をしよう。障害者手帳や障害基礎年金には複数の等級があり、それは障害の程度によって決まる。例えば、障害者手帳の場合は、心機能障害には1、3、4級があり、1級が一番障害の程度が重い。それぞれは、自己身…

4本の命綱

おいらが障害者生活を送る上で、命綱とも言える4つの公的社会福祉制度がある。障害者手帳、障害基礎年金、指定難病医療費助成制度、そして住んでいる市町村による重度障害者医療費助成制度の4つである。幸いなことに、おいらは現在この全ての制度を利用でき…

フォンタンマスターへの道:水編

先天性心疾患者にとって、体内の水分量コントロールは極めて重要な課題だ。多過ぎれば、体が浮腫むだけでなく血液量が増えて心臓に大きな負担がかかる。しかし、少なければ脱水や血栓のリスクが高まる。この点は、フォンタン患者には、特に難題である。フォ…

健常者の時間、先天性心疾患者の時間

このブログでも度々書いてきたが、おいらは子供の頃から自分の寿命は50歳までだろうと感じている。5年前にフォンタン術後症候群になり、PLEや不整脈の合併症が出てからは、その寿命をさらに確信した。先日の心筋梗塞の時には、50歳も甘い予想だったなとさえ…

入院ランキング

よく雑誌などに病院ランキングが出ていたりする。それは手術実績や病床数などを基にして、主に医療技術や施設の充実度で評価されている。もちろんそれらは極めて重要なポイントではあるが、入院患者にとってそれと同様に気になるのが入院生活の実態であろう…

贅沢な薬

先日の心筋梗塞の入院後、大幅に薬が増えてしまった。これまでのものと合わせるとその数22種類。今日はそれを一覧表にしたので、お見せしたい。以下が現在おいらが日常的に使っている薬である。薬の名前とその簡単な効果、一錠あたりの量、薬価、1日あたりの…

総痛み量

今回の心筋梗塞の入院では、当然ながら様々な痛い出来事が続いた。入院中は、痛みのレベルを1から10で聞かれることが度々あり、10は涙が出るほどの痛みらしい。最初にあった胸や腕の痛みは大したことはないので痛みレベル2くらいだった。点滴ルートの注射や…

先天性 x 成人心疾患患者になる

左側の腕や胸、背中にあった重く鈍い痛みは、不安の通り、心筋梗塞の兆候だった。発症後、たまたま数日後に先天性疾患の定期診察があったため、診察時にその症状を伝えて追加の血液検査をしてもらった。主治医の先生は小児循環器が専門なので、心筋梗塞など…

心臓は嘘をつかない

以前、おいらの心臓は、身に迫る危機を頭で考えている以上に正確に感じ取ることができる、と書いた。例えば、頭ではまだ大丈夫かなと思っている時でも、心臓の方が先にドキドキと動悸がして危機を感じ始めるのだ。ここ数日、狭心症のような症状が頻発してい…

偶然の予兆

この数日、政治に関わる衝撃的疑惑が次々報道されている。もしかすると、長く人々の心に残る歴史的な政治事件になるかもしれない。この事件のように、おいらがこれまでの人生でリアルタイムで目撃あるいは体験した衝撃的なニュースを思い出していくと、ふと…

データの力

現在国会で、裁量労働制のメリットを示すデータに誤りが指摘され、捏造さえ疑われている。あるいは、科学研究の世界でも、最近ではiPS細胞研究所での不正事件など、データ捏造事件が度々起きている。こうした事件が度重なると、データとは、結論に合うよう都…

裁量休暇制

今国会で熱く審議されている働き方改革関連法案では、裁量労働制の適用範囲の拡大が盛り込まれている。裁量労働制が適用された労働者にとっては残業代なしで長時間働かされる懸念があり、定額働かせ放題だと批判されている。おいらがこれまで働いてきた研究…

クールな患者

連日、輝いて見えるオリンピック選手の中で、異色のクールさを醸し出す選手がいる。スノーボードハーフパイプの平野歩夢選手だ。まだあどけなさの残る顔立ちと今風の若者の風貌とは裏腹に、一貫して落ち着いた立ち振る舞いはサムライを思わせるようで、今世…

輝く人々

平昌オリンピックが開幕した。競技をしているどの選手も輝いて見える。この日のために人生の全てをつぎ込んできたかのように、全力で競技に立ち向かっていた。それだけに負けた時の悔しさも、勝った時の歓びも、想像を絶する感覚なのだろう。そのような超越…

傷心の研究者

新年早々、投稿していた論文が2つ連続で落ちた。論文が落ちたとは、学術雑誌に投稿していた論文が、掲載不可と判定されて返されることである。研究をしてある程度成果が出ると、それを論文にまとめて学術雑誌に投稿する。雑誌に投稿しても、すぐに掲載して…

うまい話には毒がある

うかつだった。もし間違っていたら死んでいたかもしれない状況だった。南の島に来て以来釣りにハマり、度々行っていた。家から車で10分くらいのところに港があり、そこでは結構簡単に魚が釣れた。時には魚肉ソーセージで、ガーラと呼ばれるアジ科の魚が釣れ…

生きるための装備

年末年始は内地へ帰省した。帰省先は雪が降っており、寒さが耐えられるかとても不安だった。南の島に来る前は、毎年冬の寒さに耐えられず体調を崩して入院していたからだ。せっかく、南の島でこれまで安定してきたのに、帰省して体調を悪くしては元も子もな…

夢の競争

この冬、息子はスキー留学のため前に住んでいた山間部に旅立った。妻も保護者として同伴したため、おいらは一人南の島でお留守番である。本当は一緒についていきたかったが、仕事を休むことになり収入がなくなってしまう上、寒さに耐えきれそうになく、島に…

りんごが赤くなると医者は喜ぶ

りんごが赤くなると医者が青くなる。栄養のあるりんごを食べていると病気にならず医者いらずという意味のことわざで、世界にも類似のことわざが存在する。しかし、このことわざ、医者にとってはずいぶんと失礼な話で、全くもって正しくない。 前に住んでいた…

Death is a natural part of life

「死は生きることの一部だ」。映画スターウォーズで、ジェダイマスターのヨーダが言った名言である。800年以上生き続けジェダイの頂点に立つヨーダが言うと、確かにとても深みのある言葉に感じる。がしかし、先天性心疾患者にとっては当たり前な感覚である。…

植物とかけてコンビニと解く

しばらく前、息子の学校の教室で、おいらがやっている植物の研究について話す機会があった。話終わった後、生徒から「なぜ植物を研究しているのですか」と質問された。おいらは、待ってましたとばかり得意げにその理由を答えた。おいらが植物を研究する最大…

弾切れ

先日の予想は見事に外れた。が、それはいい方向でのハズレだった。タンパクはわずかながらさらに改善したのだ。フルイトランによる絶妙なコントロールが効いたのだ。次の診察は3週間後になった。今後もフルイトランを飲む量を調節すれば良い状態を安定できる…

体重は物語る

明日はまた診察である。しかし、この1週間の体重の変化からだいたい検査結果の予想はついている。2週間前にフルイトランを毎日飲み続けた結果、大量に水抜きされ、タンパク量は大幅に改善した。その反面、脱水気味となり、フルイトランの服用を中止した。服…